2014年4月24日木曜日

任天堂、ソニーとの協業による携帯型ゲーム機の実機体験付き研修会の様子

2014年1月22日に公開した原稿の転載です。1008文字。

無償講師派遣型の安全教室を大々的に展開できる携帯電話事業者とは違い、ゲーム機メーカーなどでは、こうした指導者向け研修会などへのピンポイントの登場がどうしても主になります。

実機に触れたり、詳しい人から直接説明を聞くと解消する不安も多いように思います。
昨年度はたまたま経済産業省の委託事業の枠組みの利用で実現しましたが、こうした機会を無理なく増やしていくための創意工夫を、これからも続けていきたいところです。

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[大人には新鮮!携帯型ゲーム機の実機体験]

 子どもたちのインターネット利用環境がパソコン/携帯電話に限られていたのはもう昔のこと。機器の急速な進化と普及の結果、携帯型ゲーム機でのインターネットデビューが当たり前の風景になりつつあります。

 最新型の携帯型ゲーム機では、一人で遊ぶだけでなく、目の前の友だちとも通信しながらの対戦が出来るようになっています。さらに無線LAN(Wi-Fi)に接続することで、インターネット越しに世界中のユーザーと対戦するオンラインゲームなども簡単に楽しめます。

 またパソコンと同じように、自由にホームページを閲覧する機能も搭載されていますから、家庭の方針や子どもの成長度合いに合わせ、不要な機能はオフにするなど、機器上の保護者管理機能を正しく設定してから子どもに使わせることが必要です。

 ところが最新の携帯型ゲーム機でどのようなことが出来るのかも、保護者管理の機能の存在も、ゲーム機に馴染みの少ない大人には、案外知られていません。

 ピットクルーでは平成24年度から、経済産業省委託事業の一環として、各地域でインターネット安全利用の教育啓発に関わる、地方自治体等の認定した指導者向けに研修会を実施しています。
 今年度は、任天堂およびソニー・コンピュータエンタテインメントの両社にご協力をいただき、一部会場にて携帯型ゲーム機の実機体験プログラムを試行的に実施しました。



 当日の受講者の中には、最新の携帯型ゲーム機に触れるのは初めてという方も少なくなく、その画面の鮮明さや各種動作のスピード感には新鮮な驚きの声が聞かれました。

 また機能制限などの保護者管理機能についても、実際に自分の手でその設定方法や動作を確認することで、今後、教育啓発を進める上で具体的な手応えを得ることができたという受講者が多くいらっしゃいました。


 ピットクルーでは今後も関係事業者との協働を図り、こうした機会の拡大に努めていきます。

(高橋大洋/インターネット利用者行動研究室)

※任天堂株式会社
保護者のみなさまへ http://www.nintendo.co.jp/parents/index.html

※株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント
ネットワークを安心してお使いいただくために http://pscom.jp/anshin
ペアレンタルコントロール機能・解説ページ http://pscom.jp/safety

2014年4月23日水曜日

船橋希望中学校(東京都世田谷区)の家庭教育学級で講演

またまた勤務先Facebookページの過去投稿からの転載です。

2014年1月17日に公開した949文字の原稿。

同校PTA役員のみなさんによる企画でお呼ばれしたわけですが、その熱意には動かされましたね。

その後の同校の取り組み成否も気になるところです。

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[家庭教育学級での講演]

 東京らしい冬晴れに恵まれた1月11日土曜日、世田谷区立船橋希望中学校で開かれた家庭教育学級にお邪魔してきました。

 今回の家庭教育学級のテーマは「親が知らないネットの世界/わが子を見失わないために」。スマートフォンなどを購入するきっかけとなる進級進学シーズンの前に、その利点欠点についてあらためて考える機会を持ちたいという思いから、冬休み明け早々のこのタイミングに合わせて企画された同中学校PTAの取り組みの一つです。

 また、単発の講演だけではなく、同校保護者を対象としたインターネット利用実態アンケート調査も事前に行われ、子どもたちのインターネット利用機器や利用サービス、家庭でのルールなど、「同じ学校の他の家庭ではどうなのか」という保護者が知りたい情報の共有が試みられているのも特徴です。

 この日、図書室に集まったのは約60名。同校の保護者、関係者だけでなく、周辺の小学校からの保護者や校長先生の他、地域の青少年指導員の方などの参加もありました。
 おおまかな進行は、初めに講師から、子どもたちのインターネット利用の最新状況と、家庭での取り組みのヒントについてお話をさせていただいた後、参加者が5−6名ずつのグループに分かれて、子どものインターネット利用時間などについての意見交換をするというものでした。

 保護者にとって、日常会話の中でわが子のインターネット利用を話題にするのは難しいものかもしれませんが、同じ講演会に参加した後であれば、日頃の色々な悩みや疑問が自然に聞けるものです。
 期待に違わず、グループワークはなかなかの盛り上がりを見せていましたし、受講者のアンケートの中にも、「子どもと話をしてみたい」「ネットに詳しくなくても親に出来ることがあると分かって良かった」といった前向きなコメントが多く見られました。

 フィルタリングの利用を呼びかけるなどの形で、これまで行政主導で行われることの方が多かった保護者向けのインターネット利用に関する教育啓発ですが、今後はこうした、地域に根ざした自主的な学習の機会がより充実していくことが期待されます。ピットクルーでは、経験豊富な講師の派遣などで、そのお手伝いをさせていただきます。

(高橋大洋/インターネット利用者行動研究室)

2014年4月22日火曜日

勤務先Facebookページへの寄稿を始めました

すっかり更新が途絶えてしまったこのブログですが、ヨソで原稿書いてたのも一因ですかね…。

でもこのまま放っておくと散逸してしまうのはミエミエなので、アーカイブ目的ってことで、差し支えないものはこちらにも適宜収録しておきたいと思います。

記念すべき第一弾は2014年1月16日に、勤務先のFacebookページに寄稿した517文字の下記原稿です。

それにしても写真が暗くて怖い。

文中、「3月末までの期間限定」とか書いていますが、結局4月以降も継続しております。
どこまで続くのかしらね…。

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[インターネットの安全、効果的な利用について考える]

サイトパトロール業務の専門企業として知られるピットクルー。
サイト運営事業者からの委託で、利用規約に違反する投稿の監視や削除対応を行ったり、自治体教育委員会からの委託で、児童生徒の利用実態を調査することが、全国650名のスタッフの日常です。

ところが、長年こうした業務を続けていると、同じ失敗をしてしまう利用者が多いことに目が行きます。またインターネットでの大きな失敗は、残念ながらその時限りでは終わらず、本人のその後の人生にも長きに渡って深刻な影響を与えかねません。

そこでピットクルーでは、専門部署を設けて、安全かつ効果的なインターネット利用についての研究と教育に取り組んでいます。その最新の名称は「インターネット利用者行動研究室」。

これまでは、講師としてお邪魔した各地の研修会などでしかお目にかかることができませんでしたが、今日から3月末までの期間限定で、このFacebookページ上でも、研究室担当者の日常や、最新のトピックなどをお知らせしていくことになりました。

みなさまからのコメントを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いします。

(高橋大洋/インターネット利用者行動研究室)


2013年9月21日土曜日

iOS7のフィルタリング機能の設定の流れを確認してみた

あまりにも情報が少なくて不安になるほどなのですが、以前から「iOS7ではAppleが標準ブラウザSafariにフィルタリング(ウェブサイトフィルタリング)を搭載する」というアナウンスがされていました。以前、このブログでも紹介しています。

iOS7の一般リリースが始まり、ようやく手元のiPhone5でもアップデートが出来たので、早速、機能の存在と設定の流れを確認してみました。

おなじみの「設定>一般>機能制限」を辿っていくと、ありました。「コンテンツの許可」セクションの中に「Webサイト」という新しい項目が。

 

Ios7 filtering setting1

 

 

これを選択すると、次に来るのがこちら。

Ios7 filtering setting2

 

ウェブサイトフィルタリングでは一般的な、「制限方式の選択」画面ですね。

  • 「すべてのWebサイト」を選ぶと、フィルタリングは無効に。(初期値)
  • 「アダルトコンテンツを制限」を選ぶと、いわゆる「ブラックリスト方式」(制限リスト方式)に切り替わり、アダルトコンテンツを掲載している(と思われる)ウェブサイトやページが見られなくなる(はず)。
  • 「指定したWebサイトのみ」を選ぶと、いわゆる「ホワイトリスト方式」(許可リスト方式)に切り替わり、管理者(保護者)が指定したウェブサイトやページだけにアクセスできるようになるわけですね。(きっと)

 

Ios7 filtering setting3

 

もちろん、「アダルトコンテンツを制限」モードを選んでも、Apple側の判断基準と異なるサイトを、管理者(保護者)が許可したり、禁止したり個別に調整することも可能なようです。ここの作りも常識的ですね。

 

Ios7 filtering setting4

 

「指定したWebサイトのみ」を選ぶと、米国での子ども向けおススメサイトリストがずらっと並びます。このままだと日本語圏での利用にはちょっと厳しいですね。

もちろん個別に管理者(保護者)が好みのサイトを追加することも可能になってます。たとえば日本だとYahoo!きっずなんかを追加するのが代表的なんでしょうね。

 

実際にアダルトコンテンツへのアクセスを試してみるとどうなるでしょう。

Ios7 filtering setting5

 

「アダルトコンテンツを制限」モードで、標準ブラウザSafariを使ってみます。

たとえば「アダルト画像」というキーワードで検索してみると、いきなりGoogle検索ページへのアクセス自体がブロックされてしまいました。おお。

なんというか、これはこれで手堅い仕様ですね。

どうにかしようと思って「Webサイトを許可」のところをタップすると、

 

Ios7 filtering setting6

 

「機能制限」のパスコード入力を求められます。なるほど、こうやって保護されるわけですね。

こうして一連の流れを眺めてみる限り、iOS7のフィルタリング機能、どうやら基本的な作りはしっかりしているものですね。これまで悩ましかったiPod Touchにも、一応の解決策が出来たことになりそうです。

実際に色々なキーワードを入れてみて、フィルタリング自体の精度(ブロックの確実性や正確性)を試すようなことは、これからあちこちのユーザーが試すでしょうから、とりあえずはここまでの確認に留めたいと思います。

2013年6月11日火曜日

AppleはiOS7で標準ブラウザSafariにフィルタリング機能を搭載?

本日(日本時間で深夜2時から)始まったAppleの開発者向けイベントWWDCで、iOS7が発表になりました。

速報記事(こちらなど)を見る限り、日本でも子どもたちに人気のiPhone、iPodTouch、iPadに影響する保護者管理周りの変化は、大きく二点。

一つは、AppStore上で、子どもにふさわしいアプリを探しやすくさせようというもの。

AppStoreは低年齢層の利用を考慮し、年齢別での検索が可能な仕様に。

これまでも、「機能制限>コンテンツの許可」を利用することで、アプリについているレーティング情報を使ったある程度のコントロールが出来たはずですが、これをより使いやすくするということでしょうか。

そしてもう一つは、標準ブラウザとして搭載されているSafariの機能改善の中に、ウェブサイトフィルタリングと思われる項目が含まれていること。

残念ながら日本語の記事では見つけられなかったのですが、海外サイトでは

Enhanced Parental Controls allow you to automatically block access to adult websites or only allow access to a specific set of permitted websites.

とされていますので、これを素直に読めば「許可/規制両対応のウェブサイトフィルタリングがSafariだけで実現可能に」ということになりそうです。

この「フィルタリング機能の追加」?については、

  • 外部のフィルタリングリスト(規制リスト)を搭載する伝統的な仕様なのか(または、全く別の仕組みなのか)
  • もしそうだとすればどこからリストを調達するのか
  • いずれにしても日本での実用に耐えうるのか

といった興味が尽きません。

 

日本国内の状況を振り返ってみると、Androidスマートフォン向けには、携帯電話会社が三社とも、フィルタリングブラウザまたはサービスを提供しています。

一方iPhoneでは、無償フィルタリングブラウザ「Yahoo!あんしんねっと」(ソフトバンクモバイル利用者)、または有償フィルタリングブラウザ「iフィルター」(au利用者)の利用と、契約先によって差があり、さらには別途Safariを無効化しなさいとか、結構面倒な準備作業も強いられています。

今回の機能追加がしっかりしたものであれば、iPhoneはもちろん、iPodTouch、iPadも含め、Appleのモバイル機器での保護者管理の定石が大きく書き替えられるかもしれないということですね。

一般利用者でもiOS7が使えるようになる今秋に向けて、続報に注目したいと思います。

2013年5月8日水曜日

SNS上でのオンラインコミュニケーション力がシューカツの必須スキルになる日は近い

就職活動イメージ

 

筆者が担当する子どもたちとインターネット問題に関する研修では、「無難に、安全に使えることは当然」で、これからは「上手に使えるようになっていないと困る」時代なんですということを、保護者のみなさんにお伝えしています。

その具体例として挙げるのは、たとえば「SNS(交流)サイトを使った就職活動」です。

実際、IT系以外の大手企業であっても、自社のウェブサイトでの情報発信に留まらず、SNS(交流)サイトを利用するようになっています。

日経HR社の報道発表によれば、2014年春入社の新卒採用活動に向けたSNSツールを作成したという企業の割合は、51.6%と半数を超えています。その際、利用されるSNSとしては、Facebookが93.8%と圧倒的。

一方、エン・ジャパン社の報道発表によれば、Facebookを情報収集のために使っているのは大学生の約4割とのこと。

こうして企業側と大学生側の利用率を見比べてみると、まだ手探り段階なのかもと思えてくるところですが、「ヘンケルジャパン、Facebookのみで新卒採用を開始」というニュースが目に止まりました。

え、面接もやめちゃうの?と一瞬ビックリしたところですが、さすがにそういうわけではなく(当たり前)、 

同社では、Facebookおよびホームページで採用情報を公開し、応募等の採用選考プロセスはFacebookを通じて行うそうだ。Facebookを活用した新卒採用は、学生により深く同社を理解し、応募してもらうことを目的としており、Facebook内の応募者向け非公開グループで、社員との双方向的なコミュニケーションをとることも期待されている。

というのが「公式Facebookページを唯一の窓口とした新卒採用」の中身ということになります。

採用人数が少ない外資系企業のヘンケル・ジャパンだから思い切れたということかもしれませんが、少なくとも、「双方向的なコミュニケーション」の力をはかる手段としてのSNSの活用は、国内企業にも割と急速に広がる可能性があるんではないかと考えます。

企業側は採用選考プロセスの中で、いままでも散々、グループディスカッションとか大学生にさせてきたわけじゃないですか。これ、そのオンライン版ということですから。

もちろん「SNSやブログで羽目を外しすぎてないか」みたいな低いレベルでの心配をするよりは、ずっと前向きだとは思うのですが、こうした能力って、一朝一夕とか付け焼き刃で身に付くものではありませんから、大学生はもちろん、選考する企業側も大変ですね。

いよいよ、本当の意味での情報教育の大切さが目に見える事象になってきたのだなーと感じたニュースでした。個人的にもいろいろと取り組みを加速したいと思います。

2013年5月7日火曜日

バンダイナムコの「TamaGoLand(たまGOランド)」の「安全」は他のSNSと何が違うのか

安心・安全を前面に押し出す新SNS

バンダイナムコの小学生向けSNS「TamaGoLand(たまGOランド)」が5/1に正式オープンしましたね。

紹介記事冒頭の「『たまごっち』のキャラクターと遊びながら」の部分は、かろうじてイメージできそうですが、「子どもたちだけでも安心・安全に利用できるさまざまな機能・サポートを搭載する。友だちにメッセージを送るなどのコミュニケーションをしながら、ネットサービスへの対応力や利用ルールが自然と身につく仕組みになっている。」と簡潔に書かれても、一体何をもって安心・安全というのか、他のSNSとの違いがどこにあるのかが判然としません。TamaGoLandサイトの「保護者のみなさまへ」を見ながら、もう少し掘り下げてみましょう。

 

安心・安全のための運営ポリシー

運営者ポリシーの一つに「安心・安全で楽しい「インターネット体験の場」を作る」と題して、

  • 不適切なメッセージをチェックしています
  • 個人に関係する情報が変更された場合は保護者へ通知します。
  • お金を使い過ぎることはありません

という三点が宣言されています。

実のところ、一点目については最近では、他の国内大手SNSでも普通に行われるようになっていることですから、この宣言だけでは違いがあまり分かりません。しかし、二点目と三点目を運営ポリシーとして明確に掲げているサイトはまだ珍しいですね。

特に三点目の宣言は、コミュニティ/ゲームサイトでの高額課金が話題になる最近では、保護者にとって確かに「安心」のポイントと言えそうです。※1

※1 ゲームやアバター(キャラクター)アイテムの買い過ぎ(使い過ぎ)対策としては、「未成年者に限って月額5千円」など上限設定のことを指すサービスが少なくありません。TamaGoLandでは、無料サービスとは別枠の有料会員コースを定額制で提供するとのこと。その「月額525円」と有料/無料サービス内容のバランスがそれぞれ適当かどうかはさておき、この仕組みであれば「保護者が知らない間に高額請求になることを防げる」ことはもちろん、「子どもが年齢を偽って登録する」などの心配も不要なわけです。

 

オープンなコミュニケーションとクローズなコミュニケーション

しかし、他サービスとTamaGoLand(あるいはバンダイナムコ社)との「安全」についての取り組みの本質的な違いは、同ページ中段以降にある「子ども向けネットサービスならではのしくみ」で説明されている、以下の二点に集約されています。

当たり前のように書かれ、読み過ごしてしまいそうなこの二点こそが、バンダイナムコ社が小学生のインターネット利用能力の実際や、類似サービスでのトラブル発生の状況を見きわめ、今回の新サービスの設計の根幹に据えた大切なポイントと言えるでしょう。

  • オープンなコミュニケーションシステム
    (ユーザ間の送受信はすべての登録ユーザから閲覧できる)
  • サービスの段階的な体験
    (ユーザの利用状況と理解に応じてメッセージ機能を段階的に開放)

一点目の「オープンなコミュニケーションシステム」を提供しているのは、TamaGoLandだけではありません。類似のコミュニティサイトでも、掲示板や日記へのコメント欄のような機能として提供されているものです。しかし、それに加えて「クローズなコミュニケーションシステム」(と書いてしまうと分かりにくいかもしれませんが、当該サイトにログインすると会員同士だけで利用できる「専用のウェブメール」だと思えば良いでしょう。呼び名は「ミニメール」などサイトによって様々です。)も提供されるのが通例です。そして、ここが深刻なトラブル※2の源になっています。

※2 具体的には、最も注意が必要なトラブルは「悪意のある大人が年齢や性別を偽るなどして、未成年者に近づく」というものでしょう。結果として性犯罪被害に遭うケースが少なくありません。またそこまで行かず、子ども同士であっても、コミュニケーションの行き違いを起こしたり、いじめなどの攻撃的な使い方になってしまうことが少なくありません。

いずれも「他人の目に触れないで直接メッセージのやり取りが出来る」というサービスの特性と、利用者側の能力/知識/経験のギャップが引き起こすトラブルと言えます。そこで、国内の大手コミュニティサイトの一部では、掲示板のようなオープンな場でのやり取りだけでなく、1対1のやり取りがされているミニメールについても監視の対象として、トラブルの抑制に努めるようになりつつあります。

一方、TamaGoLandでは、利用者にとっての利便性を犠牲にしてでも、この部分の機能を提供しないと決めたわけです。小学生向けサービスと割り切っている同サービスだからこそ出来た英断と言えるでしょう。

 

ネット上の自動車教習所的なサービスを模索

二点目の「サービスの段階的な体験」は、他サイトではほとんど見られない特徴と言えるでしょう。

運営側は、利用者がメッセージサービスを使って相手に気持ちを表現する際に、最初は「スタンプ」だけを許可し、その後、所定のレクチャーを受け、テストをパスした利用者(子ども)だけに、自由なテキストのやり取りを認めます。それでも不注意や理解不足から、不適切な発言を書き込んでしまった利用者に対しては、一時的にメッセージ機能の利用を制限するという、いわば「教育的な配慮」※3を組み込んだ、手の込んだサービス設計になっているのです。

※3 同社の考え方や理想については、専門媒体Internet Watchによって、詳しく報じられています。Twitterで大失敗をやらかす前に――バンダイナムコが小学生向け仮想空間 なお、記事中には出て来ませんが、同社が以前提供していたコミュニティサービス「サークルリンク」の経験が今回のサービス設計にもキチンと活かされていると思われます。

 

複数社による参入と「子ども向けの配慮面」での競争に期待

今回のTamaGoLandの取り組みが、どのように子どもたち、そして保護者に理解されるかはまだ分かりません。バンダイナムコ社も営利企業なのですから、一定以上の収益を上げることで、サービスを持続させる必要があります。

しかし「インターネットは大人のメディア」「全てを自己責任で」と突き放すだけでは、より多くの子どもたちが必要な経験を積んでいくことが難しいのもまた明らかでしょう。

TamaGoLandのような配慮がなされた子ども向けのサービスが、日本国内市場でも複数提供され、子どもたちがその興味関心適性や、能力発達に応じて、無理なくインターネットのオンラインコミュニケーションを学ぶことができる場が広がっていく事を強く期待したいと思います。