2014年4月25日金曜日

学校向けのネットパトロールはその役割を終えたか

2014年2月1日に公開した勤務先Facebookページからの転載です。
1252文字。(投稿を重ねるにしたがい、字数が増えております…)。

「もう学校裏サイトの時代じゃないでしょ?」
「LINEやSNSが人気なのに、パトロールで何を探せるの?」

といった素朴な疑問が聞こえてくる今日この頃。
実態をごぞんじの学校現場や教育委員会の担当者はともかく、自治体の財政部署や県会議員などのみなさんにはぜひ一緒に考えて頂きたい、「パトロール実施の今日的な意義」をカンタンにまとめた記事でした。

その一方、先進的な自治体の取り組みは、「見回り」だけでなく、「教育」や「相談」機能も連動させた複合的なものへと移りつつあります。

そのあたりの実例についても、これからもっと
紹介していきたいですね。

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[ネットパトロールの効果を上げるには]

 掲示板、ブログ、プロフィールサイトなどを巡り、地域の子どもたちによる書き込みの中から、不適切なものを見つけ出す作業を、ネットパトロールと呼びます。

 ピットクルーのような専門企業が自治体教育委員会や私立学校からお引き受けするケースだけでなく、自治体職員や地域の保護者ボランティアによる対応も盛んです。

 パトロールの結果、インターネットへの書き込みには適さないプライベート情報の書き込みなどが、今でも数多く見つかります。多くの場合、教育委員会などに集約された後、各学校に適宜提供され、具体的な生活指導、生徒指導の材料として役立てられています。

 その一方で「子どもたちのインターネット利用の中心が、メッセンジャーアプリや会員制の交流サイトなどの閉鎖空間に移った」という視点や、検出される不適切書き込みの件数が漸減傾向にあることから、「パトロールを実施する効果が以前より薄れたのではないか」との指摘も見られるようになっています。

 しかし、子どもたち自身の本音が赤裸々に語られるのは、学校の教室や家庭ではなく、むしろインターネット上なのではないかという見方から、子どもの状況を把握するための貴重なヒントがネットパトロールの結果からも得られるとする教育現場の声は少なくありません。

 実際、子どもたちの不適切な発信がメッセンジャーなどの閉じた空間だけに限られることは珍しく、その様子が、ブログサイトや大手交流サイト上などの公開されている場にも漏れ出ているケースは少なくありませんし、そうした公開の場への書き込みは、後々大きな問題につながりがちです。

 もちろん、ネットパトロールの効果を上げるための工夫の余地はまだまだ多く残っていそうです。

 例えば、パトロールの結果を学校ごとの個別指導の材料だけに留めることなく、ヒヤリハット事例として共有するなど、地域内での教育啓発に積極的に生かしていくこと、保護者や地域の方などから学校に寄せられた相談や、ネットトラブル相談窓口に入ってきた事例から、パトロールの範囲(対象サイト)を機動的に変更していくような仕組みづくりが考えられます。

 またピットクルーでも、専門企業としてパトロール業務の一切をお引き受けするだけでなく、パトロール自体は外部に委託しないという方針の自治体職員や地域の保護者ボランティア向けに、パトロール担当者養成研修メニューのご提供も始めています。(写真は先日開催された地方自治体向け研修会の様子です)


 地域や学校のそれぞれの状況や事情に合わせた取り組みが、これからも子どもたちのインターネット活用を支え続けることを信じて、ピットクルーも新規サービスの開発を続けていきます。

(高橋大洋/インターネット利用者行動研究室)

※ピットクルーのスクールネットパトロールサービス導入自治体の担当者インタビュー記事もご覧ください。
http://www.pit-crew.co.jp/service/schoolreport_01.html

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