2013年9月21日土曜日

iOS7のフィルタリング機能の設定の流れを確認してみた

あまりにも情報が少なくて不安になるほどなのですが、以前から「iOS7ではAppleが標準ブラウザSafariにフィルタリング(ウェブサイトフィルタリング)を搭載する」というアナウンスがされていました。以前、このブログでも紹介しています。

iOS7の一般リリースが始まり、ようやく手元のiPhone5でもアップデートが出来たので、早速、機能の存在と設定の流れを確認してみました。

おなじみの「設定>一般>機能制限」を辿っていくと、ありました。「コンテンツの許可」セクションの中に「Webサイト」という新しい項目が。

 

Ios7 filtering setting1

 

 

これを選択すると、次に来るのがこちら。

Ios7 filtering setting2

 

ウェブサイトフィルタリングでは一般的な、「制限方式の選択」画面ですね。

  • 「すべてのWebサイト」を選ぶと、フィルタリングは無効に。(初期値)
  • 「アダルトコンテンツを制限」を選ぶと、いわゆる「ブラックリスト方式」(制限リスト方式)に切り替わり、アダルトコンテンツを掲載している(と思われる)ウェブサイトやページが見られなくなる(はず)。
  • 「指定したWebサイトのみ」を選ぶと、いわゆる「ホワイトリスト方式」(許可リスト方式)に切り替わり、管理者(保護者)が指定したウェブサイトやページだけにアクセスできるようになるわけですね。(きっと)

 

Ios7 filtering setting3

 

もちろん、「アダルトコンテンツを制限」モードを選んでも、Apple側の判断基準と異なるサイトを、管理者(保護者)が許可したり、禁止したり個別に調整することも可能なようです。ここの作りも常識的ですね。

 

Ios7 filtering setting4

 

「指定したWebサイトのみ」を選ぶと、米国での子ども向けおススメサイトリストがずらっと並びます。このままだと日本語圏での利用にはちょっと厳しいですね。

もちろん個別に管理者(保護者)が好みのサイトを追加することも可能になってます。たとえば日本だとYahoo!きっずなんかを追加するのが代表的なんでしょうね。

 

実際にアダルトコンテンツへのアクセスを試してみるとどうなるでしょう。

Ios7 filtering setting5

 

「アダルトコンテンツを制限」モードで、標準ブラウザSafariを使ってみます。

たとえば「アダルト画像」というキーワードで検索してみると、いきなりGoogle検索ページへのアクセス自体がブロックされてしまいました。おお。

なんというか、これはこれで手堅い仕様ですね。

どうにかしようと思って「Webサイトを許可」のところをタップすると、

 

Ios7 filtering setting6

 

「機能制限」のパスコード入力を求められます。なるほど、こうやって保護されるわけですね。

こうして一連の流れを眺めてみる限り、iOS7のフィルタリング機能、どうやら基本的な作りはしっかりしているものですね。これまで悩ましかったiPod Touchにも、一応の解決策が出来たことになりそうです。

実際に色々なキーワードを入れてみて、フィルタリング自体の精度(ブロックの確実性や正確性)を試すようなことは、これからあちこちのユーザーが試すでしょうから、とりあえずはここまでの確認に留めたいと思います。

2013年6月11日火曜日

AppleはiOS7で標準ブラウザSafariにフィルタリング機能を搭載?

本日(日本時間で深夜2時から)始まったAppleの開発者向けイベントWWDCで、iOS7が発表になりました。

速報記事(こちらなど)を見る限り、日本でも子どもたちに人気のiPhone、iPodTouch、iPadに影響する保護者管理周りの変化は、大きく二点。

一つは、AppStore上で、子どもにふさわしいアプリを探しやすくさせようというもの。

AppStoreは低年齢層の利用を考慮し、年齢別での検索が可能な仕様に。

これまでも、「機能制限>コンテンツの許可」を利用することで、アプリについているレーティング情報を使ったある程度のコントロールが出来たはずですが、これをより使いやすくするということでしょうか。

そしてもう一つは、標準ブラウザとして搭載されているSafariの機能改善の中に、ウェブサイトフィルタリングと思われる項目が含まれていること。

残念ながら日本語の記事では見つけられなかったのですが、海外サイトでは

Enhanced Parental Controls allow you to automatically block access to adult websites or only allow access to a specific set of permitted websites.

とされていますので、これを素直に読めば「許可/規制両対応のウェブサイトフィルタリングがSafariだけで実現可能に」ということになりそうです。

この「フィルタリング機能の追加」?については、

  • 外部のフィルタリングリスト(規制リスト)を搭載する伝統的な仕様なのか(または、全く別の仕組みなのか)
  • もしそうだとすればどこからリストを調達するのか
  • いずれにしても日本での実用に耐えうるのか

といった興味が尽きません。

 

日本国内の状況を振り返ってみると、Androidスマートフォン向けには、携帯電話会社が三社とも、フィルタリングブラウザまたはサービスを提供しています。

一方iPhoneでは、無償フィルタリングブラウザ「Yahoo!あんしんねっと」(ソフトバンクモバイル利用者)、または有償フィルタリングブラウザ「iフィルター」(au利用者)の利用と、契約先によって差があり、さらには別途Safariを無効化しなさいとか、結構面倒な準備作業も強いられています。

今回の機能追加がしっかりしたものであれば、iPhoneはもちろん、iPodTouch、iPadも含め、Appleのモバイル機器での保護者管理の定石が大きく書き替えられるかもしれないということですね。

一般利用者でもiOS7が使えるようになる今秋に向けて、続報に注目したいと思います。

2013年5月8日水曜日

SNS上でのオンラインコミュニケーション力がシューカツの必須スキルになる日は近い

就職活動イメージ

 

筆者が担当する子どもたちとインターネット問題に関する研修では、「無難に、安全に使えることは当然」で、これからは「上手に使えるようになっていないと困る」時代なんですということを、保護者のみなさんにお伝えしています。

その具体例として挙げるのは、たとえば「SNS(交流)サイトを使った就職活動」です。

実際、IT系以外の大手企業であっても、自社のウェブサイトでの情報発信に留まらず、SNS(交流)サイトを利用するようになっています。

日経HR社の報道発表によれば、2014年春入社の新卒採用活動に向けたSNSツールを作成したという企業の割合は、51.6%と半数を超えています。その際、利用されるSNSとしては、Facebookが93.8%と圧倒的。

一方、エン・ジャパン社の報道発表によれば、Facebookを情報収集のために使っているのは大学生の約4割とのこと。

こうして企業側と大学生側の利用率を見比べてみると、まだ手探り段階なのかもと思えてくるところですが、「ヘンケルジャパン、Facebookのみで新卒採用を開始」というニュースが目に止まりました。

え、面接もやめちゃうの?と一瞬ビックリしたところですが、さすがにそういうわけではなく(当たり前)、 

同社では、Facebookおよびホームページで採用情報を公開し、応募等の採用選考プロセスはFacebookを通じて行うそうだ。Facebookを活用した新卒採用は、学生により深く同社を理解し、応募してもらうことを目的としており、Facebook内の応募者向け非公開グループで、社員との双方向的なコミュニケーションをとることも期待されている。

というのが「公式Facebookページを唯一の窓口とした新卒採用」の中身ということになります。

採用人数が少ない外資系企業のヘンケル・ジャパンだから思い切れたということかもしれませんが、少なくとも、「双方向的なコミュニケーション」の力をはかる手段としてのSNSの活用は、国内企業にも割と急速に広がる可能性があるんではないかと考えます。

企業側は採用選考プロセスの中で、いままでも散々、グループディスカッションとか大学生にさせてきたわけじゃないですか。これ、そのオンライン版ということですから。

もちろん「SNSやブログで羽目を外しすぎてないか」みたいな低いレベルでの心配をするよりは、ずっと前向きだとは思うのですが、こうした能力って、一朝一夕とか付け焼き刃で身に付くものではありませんから、大学生はもちろん、選考する企業側も大変ですね。

いよいよ、本当の意味での情報教育の大切さが目に見える事象になってきたのだなーと感じたニュースでした。個人的にもいろいろと取り組みを加速したいと思います。

2013年5月7日火曜日

バンダイナムコの「TamaGoLand(たまGOランド)」の「安全」は他のSNSと何が違うのか

安心・安全を前面に押し出す新SNS

バンダイナムコの小学生向けSNS「TamaGoLand(たまGOランド)」が5/1に正式オープンしましたね。

紹介記事冒頭の「『たまごっち』のキャラクターと遊びながら」の部分は、かろうじてイメージできそうですが、「子どもたちだけでも安心・安全に利用できるさまざまな機能・サポートを搭載する。友だちにメッセージを送るなどのコミュニケーションをしながら、ネットサービスへの対応力や利用ルールが自然と身につく仕組みになっている。」と簡潔に書かれても、一体何をもって安心・安全というのか、他のSNSとの違いがどこにあるのかが判然としません。TamaGoLandサイトの「保護者のみなさまへ」を見ながら、もう少し掘り下げてみましょう。

 

安心・安全のための運営ポリシー

運営者ポリシーの一つに「安心・安全で楽しい「インターネット体験の場」を作る」と題して、

  • 不適切なメッセージをチェックしています
  • 個人に関係する情報が変更された場合は保護者へ通知します。
  • お金を使い過ぎることはありません

という三点が宣言されています。

実のところ、一点目については最近では、他の国内大手SNSでも普通に行われるようになっていることですから、この宣言だけでは違いがあまり分かりません。しかし、二点目と三点目を運営ポリシーとして明確に掲げているサイトはまだ珍しいですね。

特に三点目の宣言は、コミュニティ/ゲームサイトでの高額課金が話題になる最近では、保護者にとって確かに「安心」のポイントと言えそうです。※1

※1 ゲームやアバター(キャラクター)アイテムの買い過ぎ(使い過ぎ)対策としては、「未成年者に限って月額5千円」など上限設定のことを指すサービスが少なくありません。TamaGoLandでは、無料サービスとは別枠の有料会員コースを定額制で提供するとのこと。その「月額525円」と有料/無料サービス内容のバランスがそれぞれ適当かどうかはさておき、この仕組みであれば「保護者が知らない間に高額請求になることを防げる」ことはもちろん、「子どもが年齢を偽って登録する」などの心配も不要なわけです。

 

オープンなコミュニケーションとクローズなコミュニケーション

しかし、他サービスとTamaGoLand(あるいはバンダイナムコ社)との「安全」についての取り組みの本質的な違いは、同ページ中段以降にある「子ども向けネットサービスならではのしくみ」で説明されている、以下の二点に集約されています。

当たり前のように書かれ、読み過ごしてしまいそうなこの二点こそが、バンダイナムコ社が小学生のインターネット利用能力の実際や、類似サービスでのトラブル発生の状況を見きわめ、今回の新サービスの設計の根幹に据えた大切なポイントと言えるでしょう。

  • オープンなコミュニケーションシステム
    (ユーザ間の送受信はすべての登録ユーザから閲覧できる)
  • サービスの段階的な体験
    (ユーザの利用状況と理解に応じてメッセージ機能を段階的に開放)

一点目の「オープンなコミュニケーションシステム」を提供しているのは、TamaGoLandだけではありません。類似のコミュニティサイトでも、掲示板や日記へのコメント欄のような機能として提供されているものです。しかし、それに加えて「クローズなコミュニケーションシステム」(と書いてしまうと分かりにくいかもしれませんが、当該サイトにログインすると会員同士だけで利用できる「専用のウェブメール」だと思えば良いでしょう。呼び名は「ミニメール」などサイトによって様々です。)も提供されるのが通例です。そして、ここが深刻なトラブル※2の源になっています。

※2 具体的には、最も注意が必要なトラブルは「悪意のある大人が年齢や性別を偽るなどして、未成年者に近づく」というものでしょう。結果として性犯罪被害に遭うケースが少なくありません。またそこまで行かず、子ども同士であっても、コミュニケーションの行き違いを起こしたり、いじめなどの攻撃的な使い方になってしまうことが少なくありません。

いずれも「他人の目に触れないで直接メッセージのやり取りが出来る」というサービスの特性と、利用者側の能力/知識/経験のギャップが引き起こすトラブルと言えます。そこで、国内の大手コミュニティサイトの一部では、掲示板のようなオープンな場でのやり取りだけでなく、1対1のやり取りがされているミニメールについても監視の対象として、トラブルの抑制に努めるようになりつつあります。

一方、TamaGoLandでは、利用者にとっての利便性を犠牲にしてでも、この部分の機能を提供しないと決めたわけです。小学生向けサービスと割り切っている同サービスだからこそ出来た英断と言えるでしょう。

 

ネット上の自動車教習所的なサービスを模索

二点目の「サービスの段階的な体験」は、他サイトではほとんど見られない特徴と言えるでしょう。

運営側は、利用者がメッセージサービスを使って相手に気持ちを表現する際に、最初は「スタンプ」だけを許可し、その後、所定のレクチャーを受け、テストをパスした利用者(子ども)だけに、自由なテキストのやり取りを認めます。それでも不注意や理解不足から、不適切な発言を書き込んでしまった利用者に対しては、一時的にメッセージ機能の利用を制限するという、いわば「教育的な配慮」※3を組み込んだ、手の込んだサービス設計になっているのです。

※3 同社の考え方や理想については、専門媒体Internet Watchによって、詳しく報じられています。Twitterで大失敗をやらかす前に――バンダイナムコが小学生向け仮想空間 なお、記事中には出て来ませんが、同社が以前提供していたコミュニティサービス「サークルリンク」の経験が今回のサービス設計にもキチンと活かされていると思われます。

 

複数社による参入と「子ども向けの配慮面」での競争に期待

今回のTamaGoLandの取り組みが、どのように子どもたち、そして保護者に理解されるかはまだ分かりません。バンダイナムコ社も営利企業なのですから、一定以上の収益を上げることで、サービスを持続させる必要があります。

しかし「インターネットは大人のメディア」「全てを自己責任で」と突き放すだけでは、より多くの子どもたちが必要な経験を積んでいくことが難しいのもまた明らかでしょう。

TamaGoLandのような配慮がなされた子ども向けのサービスが、日本国内市場でも複数提供され、子どもたちがその興味関心適性や、能力発達に応じて、無理なくインターネットのオンラインコミュニケーションを学ぶことができる場が広がっていく事を強く期待したいと思います。

 

2013年4月26日金曜日

娯楽系子どもタブレットのtap me(タップミー)とMEEP!(ミープ!)、親の立場だとどっちが安心?

以前、当ブログでも取り上げたトイザらスのMEEP!が、本日発売になります。Androidタブレットを6歳〜の子どもにも安心して使わせられるように、色々な配慮が仕込まれた商品です。実機が届いたユーザーからのレポートがネット上に出てくるのがいまから楽しみですね。

さて一方、これを受けて立つ国内勢の先鋒が、このほど発表になったtap me(タップミー)。長年日本の厳しい消費者と付き合ってきたバンダイナムコのグループ会社が販売元ですから、「舶来もの」のMEEP!との違いに期待が持てそうです。

tap meは発売が7月ということもあり、各社の報道や公式ウェブサイトを見た限りの話ではありますが、気になるインターネット利用リスクへの対策については、

  • アプリ追加は専用ストア「キッズアプリマーケット」からのダウンロードのみに限定。一般にAndroid端末で利用可能な、Google Playストアからの一般アプリのダウンロードは不可能(⇔MEEP!は設定次第でGoogle Playストアの利用も可能)
  • インターネット閲覧のアクセス先は、Yahoo!きっずサイトのみに制限している様子?(⇔MEEP!は設定次第で一般サイト閲覧も可能)
  • 管理機能(パパママモード)で、個別機能のオンオフが可能(⇔MEEP!も保護者設定で制限が可能)
とされています。MEEP!よりも「安全寄り」に振ってありますね。
  • 希望小売価格は20,790円(⇔MEEP!はトイザらスのオンラインストア実売価格で14,999円)

とのことで、インタビュー記事で「海外製品をローカライズした物ですと、…どこかに使いづらさが出てきてしまう」と胸を張った開発者の自信が伝わってくる値付けですね。まあ、もしかすると実売だとあまり差はつかないのかもしれませんが。

もちろん

  • 使いすぎ防止タイマーも装備(MEEP!でも使用時間制限が可能)

ということで、長時間利用への対策も万全のようです。

ちょっとだけ気になるのが、専用ストアのアプリ品揃えの中に、メールのやり取りが可能になる「cosmosia」が含まれていること。他の機器でも利用できる同アプリの標準仕様のままだとすれば、Gmailなどを経由して全くの第三者とのやり取りも可能になりますので、そこが思わぬ抜け道にならないかな、パパママモードでの機能制限の初期値はどうなっているのかなというあたりでしょうか。

また、公式ウェブサイトで公開されている情報量はまだ不足気味ですね。ここは7月発売予定ということで、まだ時間があるせいでしょうか。実は今回も、インターネット閲覧制限の方法については、確信はもてませんでした。先行するMEEP!や各社の学習タブレットの例を見習い、インターネット利用リスクが気になる保護者向けのFAQなどを、この先もっと積極的に追加した方が良いのではないかと感じました。

今回の記事タイトルについていえば、「現時点で公開されている情報を総合する限りでは、安心感はtap meの方が大きい」というのが結論です。想定している利用者(子ども)の年齢を4〜8歳としている(⇔MEEP!は6歳〜)だけのことはありそうです。

それにしても「海外ではすでに確立された市場として、…十数種が発売されている」だそうですから、似たような商品が、国内にも続々と出てくるんでしょうね。そもそも4歳児に専用タブレットを与えるべきなのか、保護者はきちんと考えておかないといけませんね。

2013年4月24日水曜日

子ども用学習タブレットを購入する前に保護者が確認しておきたい点

依然として強さを見せつけるiPad、先日取り上げたMEEP!のような娯楽寄りのタブレットに加え、新年度ということで、通信教育向けのタブレットも賑わいを見せていますね。

たとえば先日掲載された読売新聞の「通信教育 タッチで差」という記事では、ジャストシステム、ベネッセ、Z会という、大手三社の取り組みを簡潔に比較してくれています。

残念ながら当ブログには、通信教育教材としての各社のサービスの強み弱みを分析するだけの知見も経験もありません。

しかしこの三社の商品、基本ソフト(OS)については、いずれもAndroid(ハードウェアは受講者が調達する「デジタルZ」の一部科目はiPadにも対応)で共通するにも関わらず、当ブログが日頃から興味を持って見ている「子どものインターネット利用のリスク管理」の具体的な手法については、かなり方針の違いがあるようです。

そこで、各社のウェブサイトで公開されている情報を調べてみました。

 

スマイルゼミではインターネットの一般利用は全て制限

読売の記事でも「6か月以上継続して受講すれば無料になる専用タブレット(2万8350円)は、スマイルゼミ以外のネット接続ができないので、子供に持たせても安心だ。」と紹介されているところですが、運営元のジャストシステム社のサポートFAQでも、一般のインターネットサイトを閲覧することはもちろん、公式マーケット(Google Play)からアプリを追加インストールすることも出来ないという、手堅い仕様が明記されています。

教材の配信や提出などにインターネット経由での通信経路は活用するが、その弊害からは遠ざけるために、「調べ学習にも使えます!」的なセールストークについては割り切ったということでしょうね。また、「ご褒美」として楽しめる専用のゲームアプリについては、一日あたりの利用時間も制限できる模様。

小学生対象の講座ということもあり、これらの方針は保護者の多くの思惑とも合っているように感じられます。なおこの点、来年度から始まるという同社の中学生講座ではどのような展開になるのか、注目です。

 

チャレンジタブレットはインターネット端末としても利用可能

読売の記事で「一般の端末同様、ネットやメールも使えるが、モードの切り替えで、子供の閲覧できるサイトや使える時間帯を制限できる。」と紹介されている通り、学習に必要なコンテンツに絞って利用させる「子モード」と自由にインターネットを楽しめる「親モード」を切り替えて使わせるという仕様。イマドキのインターネット端末が欲しいと考える家庭にとって「お買い得感」のある打ち出し方になっています。

もちろん、子どものインターネット利用のリスクに詳しいベネッセ社らしく、搭載ブラウザにはフィルタリング機能が標準装備されている他、使用時間制限なども利用が可能なようですね。

とはいっても、保護者は、親子モードの切り替えパスワードの管理をしっかりと行い、ブラウザによる一般ウェブサイト利用先はもちろん、アプリの追加ダウンロードの必要性/危険性などについても予め知っておくことが大切です。(先日ご紹介したiPadでのフィルタリングの注意点でも触れた通り、せっかくの学習用タブレットのはずなのに、制限を解除して公式アプリマーケットから一般アプリを追加で入れてしまうことで、フィルタリングが回避されてしまいます。)

ちなみに、こちらの個人ブログページにて、タブレット開封から設定作業の流れのレポートを見つけました。これを見る限りでは、フィルタリングがオフになっているなど、デフォルト(出荷時初期)設定のままだと、かなり甘い(リスク予防が緩い)運用になるという印象ですね。スマイルゼミとは異なり、中学生講座の副教材ということなので、ベネッセ社としては保護者にもそれなりの予備知識と覚悟を求めるという考え方なのでしょうか。

 

自由にインターネットが利用できるデジタルZ

記事では「家庭にあるタブレット端末で受講できる。」とされている通りで、手持ちのAndroid搭載タブレットに、接続アプリを追加するだけでそのまま学習端末に早変わりさせられるというのがデジタルZの魅力の一つと言えるでしょう。

ただし、このスタイルの場合は、フィルタリングを選定したり、Google Playストアの設定メニューでアプリのダウンロード制限をするなど、保護者には予備知識としっかりとした準備(設定)が必要です。

なお、この講座のためにタブレットを調達しようという家庭向けに、デジタルZでは「Z会推奨タブレット」を複数紹介しています。

残念ながら、保護者管理(ペアレンタルコントロール)機能については、特段の配慮が無い機種がほとんどですが、「Z会専用カスタム品」とされるPanasonic UT-PB1だけは、「保護者向けロック機能」(チャレンジタブレットの「親モード/子モードの切り替え」に該当)を搭載し、保護者向けのモードであってもアプリマーケットが利用出来ない仕様ということなので、保護者管理の面からは、これがおススメ機種ということになるでしょうか。

 

以上、大手三社の学習タブレット(通信教育用タブレット)について、保護者管理の面から簡単にまとめてみました。Androidを搭載した学習タブレットは、これからも増えていくところでしょう。教材の中身はもちろん、インターネット利用管理についても、目配りの利いた商品が増えていって欲しいと思います。

2013年4月23日火曜日

iPadを子どもにも使わせたいが、大人向けのウェブサイトは見せたくない保護者は何をすればよいか

iPhoneやAndorid端末などスマートフォンの陰に隠れて、情報源に乏しいということなのか、iPad(iPad mini)での保護者管理の具体的な方法について質問をいただくことがあります。

フィルタリングアプリとしては何がおススメ?

実際には「おススメ」も何も、iPad(iPad mini)の場合、家庭用のフィルタリング(子どもには見せたくない、使わせたくないウェブサイトの閲覧/利用を制限する)アプリは2013年4月時点でほぼ一択です。幸か不幸か、迷う心配すら無いというところでしょうか。

具体的にはこちら、

が、その栄えある一択ということになります。

i-フィルターといえば、長らく日本のフィルタリング業界を支えて来たデジタルアーツ社(同社の技術はご家庭のパソコン用だけでなく、学校や企業などでも使われています)の看板商品です。したがって、制限対象となる分野の分類方法や操作性などが、ご家庭ごとの好みに合うかどうかという点は残りますが、その性能や使い勝手は、まずまず妥当で標準的なものと言えるはず。ただしこちらの商品、年3,800円の費用はかかります。

なお、同じiPad(iPad mini)でも、ソフトバンクモバイルで購入された方に限っては、

というフィルタリングアプリとも比較の上、どちらかお好みの方を選択することが可能です。こちらは無償ですが、安かろう悪かろうではなく、i-フィルター同様、やはり長年のパソコン版での実績を引き継ぎ、Yahoo!ブランドに泥を塗らない仕上がりと言えるでしょう。

 

iPadのフィルタリングで気をつけたいこと(手順その1:標準ブラウザSafariの無効化が必須)

これまで、i-フィルターも含め、パソコン用のフィルタリングソフトのほとんどでは、いったんインストールさえしてしまえば、それ以外の設定についてはほとんど心配する必要はありませんでした。たとえInternet Explorer以外のどんなブラウザソフト(ウェブサイトを閲覧するために作られたソフト)を使おうとも、閲覧をしっかりと制限してくれたのです。

しかし、iPad(iPad mini)では、フィルタリングアプリを正しく機能させるために欠かせない手順がまだ残っています。その一つ目は標準ブラウザアプリとして搭載されているSafariを無効にすることです。

これを怠ると、保護者がせっかく作ったiフィルター(またはY!あんしんねっと)という制限付きのドアを使わず、子どもたちは正面玄関(Safari)から、どこでも好きなウェブサイトへと出かけていくことが出来てしまいます。これは、パソコンとは違う、タブレットやスマートフォン用の基本ソフト(OS)の設計思想の違いから来ることなので、デジタルアーツ社を責めても仕方ありません。

この「Safariの無効化」についてのiPad(iPad mini)上での具体的な操作手順は、デジタルアーツ社の説明が簡潔で分かりやすいですね。(画面はiPhoneのものですが、流れは同じです。)

また、こうしていったん無効にしたSafariは、実際にはiPadからアンインストール(削除)されるわけではなく、 後で必要になった時には簡単に使えるようにできますし、以前登録しておいたブックマーク(お気に入り)の内容などもそのまま復活します。

 

iPadのフィルタリングで気をつけたいこと(手順その2:アプリ追加インストールも制限を)

ところが「タブレットにとってのインターネットへの正面玄関」とも言える標準ブラウザ(Safari)を止めたから、これでもう一安心と思うのは、残念ながらまだ早いのです。

iPad(iPad mini)では、Safari以外にも複数存在するブラウザアプリを追加でダウンロード(インストール)することで、いわば「裏口のドアを追加」することが簡単に出来てしまいますから、手順の二つ目として、そちらも予防しなくてはいけません。

そのために必要なのは、[設定]アイコンから[一般]>[機能制限]と進んだ先(ここまでは手順1と同じです)にある「許可」セクションにある「インストール」部分での操作。

ここを「オン」から「オフ」へと切り替えることで、アプリの追加インストール(App Storeからのダウンロード)が出来なくなります。

IPad機能制限設定例s

 

これ以降、普段はここはオフにしておき、保護者がその必要性と安全性を認めたアプリの追加をする時にだけ、お子さんには内緒にしておいた任意のパスコード(自分で決める4桁の数字)を入力して、一時的に制限を解除するというのが、日常の運用ということになりますね。

 

大手ウェブサイトの提供する専用アプリにも注意が必要

最近、人気の大手ウェブサイトでは、そのサイト専用のアプリを用意している例が増えています。保護者にも馴染みが深いところでは、交流サイトのFacebookや、通販サイトのAmazonなどが専用アプリを無償で提供しており、「ブラウザ経由よりも使いやすくなっている」などと、ダウンロードを促されることが少なくありません。

ただし、i-フィルターなどのフィルタリングブラウザを入れて特定分野のウェブサイトの利用を制限していても、こうした特定サイト用のアプリを追加することで、実質的には制限を回避できてしまうことがあります。その意味でも、上記「手順その2:アプリの追加インストールも制限を」は欠かせないということになりますね。

 

ああ、子どもにiPad使わせるのも、なかなか面倒ですね。やっぱりMEEP!のような子ども用タブレットにも意味はあるのかもしれませんね。

 

Yahoo!あんしんねっと HD for SoftBank App
カテゴリ: ユーティリティ
価格: 無料

 

i-フィルター for iOS App
カテゴリ: ユーティリティ
価格: 無料

2013年4月12日金曜日

トイザらスの子どもタブレットMEEP!、ペアレンタルコントロール機能のお手並みはいかに

国内初の「子ども向けタブレット」との触れ込みで、トイザらスからMEEP!が販売されるとの報道がありました。

日本トイザらスからお子様専用 Androidタブレット『MEEP!』、仮想通貨でアプリ購入

トイザらス、キッズ向け7型Android 4.0タブレット「MEEP!」

既に、トイザらスのオンラインストアには、商品案内ページもオープン済(4/10から予約受付開始、販売は4/26)。対象年齢は6歳〜とされています。

実売価格も14,999円とこなれており、携帯電話会社への毎月の支払いの心配もありませんので、保護者設定(ペアレンタルコントロール)機能の充実を前面に押し出したこの商品であれば、iPadなどのタブレットを、子どもたちに勝手に触られて困るんだよなぁという、日本のお父さん達の心をとらえることが出来るかもしれません。

保護者による管理、具体的には、

  • 使用履歴の詳細を遠隔から確認可能
  • 不適切な用語を含むサイトをブロック
  • MEEP!同士でチャットする相手は、事前の保護者承認が必要
  • アプリやサイト、ゲーム、YouTube視聴などの使用項目ごとに、使用時間やアクセス制限を個別に設定可能

といった機能を備えているとのこと。

また、

  • アプリやゲームは専用ストアから追加(専用の仮想通貨は保護者がチャージ)

というのも、さすが手慣れた印象を受けるところですね。

(とはいえ、Google Playからのアプリ追加も可能(MEEP!のベースはAndroidタブレット)とのことなので、ここをキチンと押さえておかないと根本的におかしなことになりかねませんが…。)

最も気になるのが、保護者設定(ペアレンタルコントロール)機能について、それぞれの項目の出荷時初期設定の内容です。

インターネット利用リスクについて予備知識の少ない保護者でも、結果的に手堅い管理が出来るように、基本は安全寄りに倒しておき、必要に応じてその都度制限緩めていくという設計思想が強く期待されるところですが、実際にはどうなっているでしょうか。

娯楽系子どもタブレットの先陣を切ったMEEP!は、今後、子どもの安全利用への配慮の面でも、後続の競合他社にとってのベンチマーク対象となるでしょうから、しばしばペアレンタルコントロールの先進国とされる米国発の商品らしい、しっかりと作り込まれた内容であることを願っています。

2013年4月6日土曜日

三重県教職員向け「ネットDE研修」でeラーニング講師デビュー

自治体単独での取り組みとしてはまだ珍しいそうなのですが、三重県総合教育センター(三重県教育委員会)には、「ネットDE研修」というeラーニング講座があります。

実際のサイト(講座一覧)を見ていただくと分かる通り、「学校安全・危機管理」から「学校経営」「コンプライアンス」「授業力向上」など、幅広いカテゴリのそれぞれについて実に多くのタイトルが提供されています。

残念ながらこの講座は、三重県内の教職員専用なので、われわれが中身を見ることはできないのですが、このたび「ICT活用・情報教育」カテゴリ中の「インターネットの急激な変化と学校現場での指導」という新タイトルについて、不肖タカハシが講師を担当させていただきました。(3月中旬から公開されているようです)

他のタイトルを担当するのは、それぞれの分野での第一人者と思われる研究者の方ばかり。その中にわたくしのような企業の人間が紛れ込むのは申し訳ない気もしましたが、せっかくのチャンスなのでお引き受けした次第。

ここで現物の映像や資料をご紹介できないのは残念ですが、おおよその講座の流れとしては

第1章:インターネット活用能力習得の重要性
第2章:子どもたちを取り巻く環境を理解する
第3章:インターネットの変化を理解する
第4章:学校現場での指導のポイント

というもので、まぁ、基本的には「子どもネット研」のモデル教材を下敷きに、地域密着型教育啓発の実践での経験を踏まえ、教職員向けのアレンジをしたという感じですかね。

とはいえ、これまであちこちで担当してきた研修会講師と違って、今回は映像収録の際、ほぼ無人のスタジオで反応の無いカメラに向かって60分話し続けるという、慣れないことには冷や汗をたっぷりかきました。

今後、このようなeラーニングの活用シーンは増えていくんでしょうね。今回の「ネットDE研修」も、どの程度見ていただけるのか、また本当にお役に立てるのか、楽しみです。

2013年4月4日木曜日

年度末に発表になった報告書など(覚え書き)

青少年インターネット問題に関連する調査結果や検討結果など、あちこちから出て来ましたね。合計すると、分量はやや多いけれど、いずれも関係者必読というところでしょうか。

■青少年のインターネット利用環境実態調査[平成24年度版](内閣府)http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h24/net-jittai/pdf-index.html

■スマートフォンの情報セキュリティに関する最新動向と今後の方向性(総務省)http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu03_02000043.html

■「スマートフォンアプリケーション提供サイト運営事業者向けガイドライン」の策定について(電気通信事業者協会)http://www.tca.or.jp/topics/2013/0329_561.html

■I-ROIが手がける資格制度「デジタルコンテンツアセッサ」(I-ROIの発表資料より報道記事の方が詳しい)http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130329_593722.html

■子どもネット研の第四期報告書(「スマートフォンの第三者レイティングのあり方」「教育啓発の効果測定指標」「教育啓発実践報告」))http://www.child-safenet.jp/activity/130328.html

 

 

#長らく「Tweetの自動保管場所」になっておりましたが、そろそろこのブログをブログらしく運用したいと思います。