2014年5月1日木曜日

「スマートフォンは夜9時まで」について考える

2014年3月20日公開の記事(勤務先Facebookページ)から転載。1202文字

予想通りというべきか、同様の問題意識を持つ自治体に波及している様子が、続報として報じられています。

■小中学校 広がるスマホ制限 「長時間使用は異常」「帰宅時安全確保は」首長も賛否
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1404/22/news038.html

あくまでも、子どもたちの長時間利用の背景にある「同調圧力に負けてズルズル」という点に着目した苦肉の策であり、呼びかけの当事者ほど、「これだけで全てが解決する」とはみじんも信じていないだろうと見ています。

だから「スマートフォン以外にも機器はあるよね」云々と高みの見物をしている場合ではなく、長時間利用の構造を理解できるのか、自らを律することが出来るか、試されてるのは、子どもたち以前に、われわれ大人全員なんですよね。

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[「持たせない」から「夜9時まで」への大きな前進]

携帯電話の利用トラブルが社会問題化した2008年以降、「子どもには携帯電話を持たせない」という運動に取り組む地域が複数生まれました。

それから6年、今度は「スマートフォンは夜9時まで」という地域ぐるみの呼びかけが報じられ、話題になっています。

■スマホ 午後9時以降ダメ 刈谷の全小中学校
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aichi/news/20140317-OYT8T01038.htm

ネット上の反応は、当初「学校が口出しすることではない」「問題の先送り」「実効性に疑問」といったネガティブなものが目立ちました。
しかしその後、当事者の声が伝わり始め、趣旨に賛同するポジティブな受け止め方が広がりつつあるように見えます。

■子ども21時でスマホ禁止、刈谷市が大胆な試み。
http://japanese.engadget.com/2014/03/17/21-line/

なんといっても今回の決断は、以前の「持たせない」から大きく前進しています。

以前の「持たせない」の背景には、子どものインターネット利用にはリスクをとるほどの価値は無いという判断があったはずです。
しかし今回の呼びかけの背景には、その後、インターネットが生活を豊かにするための基盤になりつつある中で、ある程度の制約をつけた上であれば、子どもに使わせる方が現実的という判断があるわけです。

「持たせない」とは違い、「夜9時以降禁止」ではインターネット利用リスクはゼロにはなりません。そもそも施策の徹底自体も難しいでしょう。しかし、あえて今回のような呼びかけを選んだ。そこに、地域の大人たちの的確な現状認識と強い決意を感じます。

有識者からは、取り組みを成功させるための課題がさっそく指摘され始めています。

■「夜9時以降ケータイ・スマホ禁止!」刈谷市学校の保護者への要請の意味と課題
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takeuchikazuo/20140318-00033660/

今後、刈谷市の内外からさらに多くの知見を集め、元々のねらいが見事に達成されることを信じています。

また、今回の報道を見て、「わが街でも!」と議論に弾みがつく地域が、これから他にも増えることでしょう。

前回の記事(https://www.facebook.com/pitcrew.co.jp/posts/815088355184717)でもお伝えした通り、その時は、子どもだけに呼びかける運動だけでなく、スタートの時点から「大人自身も振り返る機会にする」=「インターネットとの上手な距離のとり方を模索する」という要素もぜひ取り入れていただければと考えます。

微力ではありますが、機会をいただければ、お手伝いもさせていただきます!

(高橋大洋/インターネット利用者行動研究室)


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