2018年4月13日金曜日

生まれて初めてのトークショー


 おかげさまでこの3月頭に講談社から拙著(共著)『学生のためのSNS活用の技術 第2版』が刊行されました。販促活動の一環として、4月7日土曜日に、トークショー形式でのオフラインイベントを行いましたので、記憶が新たなうちに少々メモを。



 出入り口脇のホワイエ的な空間が、イベントスペースに早変わりするのです。ここは、二面の道路側はもちろん、店舗側も大きなガラス壁になっており、開放的で気分は良いし、注目度も高い。反面、通りがかった歩行者からのぞきこまれることもあり、大いに気が散る環境とも言えます。



 そんなウキウキ空間で開かれるイベントに、不肖わたくしめ、今回はメインの語り手として登壇するという大役を仰せつかりました。




 仕事柄、これまでにも少なくない回数の研修講師を経験してきましたが、いずれもホール・教室・会議室など、外部からは遮断された空間が会場。完全なオープンスペースでのイベントは、数えるほどしか経験していません。

 ましてや今回はトークショーの語り手。生まれて初めての経験です。有名作家やタレント、アスリートでもない凡人を主役に据えて、いったいどうなるのでしょうか。当日になって、客席がガラガラだったら、かなり気まずいです。

 本人の密かな不安をよそに、企画・準備を始めた昨年の11月以降、版元さんや紀伊國屋書店のスタッフのみなさんからは、種々、全面的なご協力をいただくことができました。
 また、共著者のお二人、さらには刊行前から企画進行をサポートしてくださった方々の、並外れた企画力・調整力・ご努力のおかげで、地元紙・北海道新聞やウェブ媒体、ラジオなどでの告知も実現しました。さらには友人知人、前職の職場など、いろいろなみなさんにも周知協力やご来場をいただきました。みなさまお忙しいところありがとうございました。


結果的には、客席はいい具合に埋まり、ホッとしました。


 ただ、来場者の年齢層が、事前に想像していた高校生・大学生保護者あたりよりも、さらに一段高めだったのは、新鮮な驚きでした。いまどきのリアル書店とか今回の告知経路の特徴なのかもしれません。イベント中に挙手いただいた範囲では、ご自身でSNSをご利用中の方も、普段研修で接している保護者層と比べて、ずいぶん少なかった。

 さて、やや尖った今回の書籍のテーマを、少しでも聴きやすくしようと、トークショーという形式を選んだので、語り手一人では成立せず、優れた聞き手が必要です。



 今回は関係者からのご紹介で、元NHKアナウンサーの原田由香さんに快くお引き受けいただきました。
 そもそもの声の出し方はもちろんですが、客席の温め方、客席との間合いのとり方、詰め方なども含め、話す・聞くの基本動作がよく訓練された、さすがプロらしいお仕事ぶりでした。一方、こちらは壇上の聞き手と、客席のみなさんとの二方面展開の難しさを筆頭に、反省点がたくさんです。


初めての対談形式のトークショー。気づきは…



  • 来場者に「楽しんでもらう」ための組み立てや要素は、どんなに盛り込んでも多すぎるということはない。(事前の進行検討時、その観点はなかった。)
  • 視線を向けるバランスは2:8くらいで、対談相手より客席優先に。今回は聞き手との対談スタイルに囚われすぎた。(以前に出演したことのあるテレビの形式とは違う)
  • 壇上マイクが二本あって交互に発声する進行の時は、声の出し方、マイクの持ち方への配慮も必要。(PA設備と設定次第では気にしなくてよいことも)
  • 地味で特殊なテーマかなと考えていたが、「自分ごと」と考えている大人も少なくないようだ。(今回のようなトークショー形式やそもそもの書籍の内容が直接的な答えになっているかは別)



出版と同様、一人だけでは実現できないことでした


 改めて感じたことは、「一人じゃ出来ないこと」という当たり前のお話でした。

 そもそもの書籍の刊行でも痛感したわけですが、オモテに出てくる名前はわずかでも、裏方として着々と動くたくさんの人が居て、はじめてキチンとしたものが出来上がるわけです。
 そしてそれは今回のイベントでも、まったく同じ構図でした。

 こうしたイベントだけでなく、普段の仕事でもいつもその点を意識していたいものだと思いました。また、気づきについては着実に形にしていきます。


 追記)4/11北海道新聞夕刊に、当日の取材記事まで掲載いただきました。本当にありがとうございました。




(会場Photo:M.Yoshida)



2016年6月28日火曜日

購入から2年3ヶ月。MacBook ProのACアダプタのケーブル被覆剥がれを(AppleCareの製品保証で)無償交換対応してもらいました。


以前使っていたMacBook Airでも起きたACアダプタのケーブル被覆剥がれ。
後継機としてMacBook ProRetina,13-inch,Late 2013)を買ってから、取扱いにはそれなりに気をつけていたつもりでした。でも、やはりまた被覆にヨレというか、シワが出来てきたなぁ、と思うようになってわずか数週間。見事に裂け目が出来てしまったのでした。



交換のためにACアダプタを新しく購入するとなると9500円+税。本体の次期モデルの噂も出ているこの時期としてはなおさら気が重い出費です。

少しでも節約したい一心で、いわゆるバルク品とか互換品みたいなACアダプタをAmazonで見て回ったりもしました。

確かに安い。

でも、レビュー見ててもすぐ故障する当たり外れがあるとか、本体故障したとかで、なんだか怖い。モノが電源だけに一層怖い。



その時ふと思い出したのが、MacBook Proを買う時に加入したはずのAppleCareのこと。

Apple Storeの店員さんに勧められ(万一液晶壊すと高くつきますよとか脅かされ?笑)、それまで家電量販店の延長保証などにも一切入ったことのなかったわたくしが、清水の舞台から飛び降りる思いで、確か加入したはず。

なんと、AppleCareは本体だけでなく、電源アダプタも保証の対象なんですね。
知らずに加入してました…。


早速、Appleサポートにコンタクトしてみることに。
普段から電話は苦手なので、チャットを選択。











Appleに限らず、サポートって延々と待たされるよなという先入観がありましたが、実質的には表示されていた「2分ほどで」よりも待つことなく、担当の方につながりました。


会ったことがない生身の人間とのテキストチャットって初めてです。

最初に女性の名前を名乗られたので、右の人を想像しながら淡々と会話を進めていきます。結構新鮮!(実際には左のような人かもしれないし)
















































対応は、LINEでりんなと話すよりはスピード感無いです。

こちらから一言送るたびに、ちょっとだけ待たされるようなタイミング。

でもまあ普段からチャットってそんなものだし、メールと比べると話の進みは格段に早いし、電話よりも応対する際の心理的な負担感のようなものも低いので、これはこれで良いものだなぁと。


そしてほどなくアダプタは無償交換できますという結論に。
(被覆の破れた経緯は聞かれましたが、こちらから提案したケーブル状況の写真送付などは必要ないとのことでした)
















































この後は、ヤマト運輸が配達に来てくれて、玄関先での新旧パーツの引き換えだそうです。

後から届いた記録を見てみると、サポート終了までおおよそ28分間。
でもそれほどのストレスは無かったです。

こういうサポートのスタイルはこれからもどんどん増えるんでしょうね。
そして一部はしっかりとAIに代替されていくんだろうなとも思いました。


今回の結論
  • 思い切ってAppleCare Protection Planに加入していて助かった。
  • チャットのサポートを提供してくれるのはありがたい。
  • 次期MacBook ProではACアダプタのケーブル被覆の品質向上をお願いしたい。

2015年1月7日水曜日

2014年一年間の講演講義を振り返ってみた

気付けばこのブログもふたたび長いこと放置してしまいました(反省)。
本当なら新年早々にアップするべき内容なのでしょうが、冬休みの宿題も一段落したこの隙に、2014年(暦年)の講演講義を振り返っておきたいと思います。

手元の記録をたどる限り、昨年1月から12月末までの講演講義はちょうど100回でした。
割合を把握しやすいキリのよい数字…(笑)

せっかくなので、内訳もみてみましょう。

対象者別

保護者向けが51回、教職員向けが13回、各地域のボランティア指導者向けが13回ということで、予想通り「大人」偏重だったことになりますね。
ま、小学生向け7回、中学生向け5回、大学生向け9回についても、それぞれ回数は少ないけど、一回あたりの受講者数は多い(中高一貫の私立男子校でホール一杯の1400名というのも…)ので、人数ベースだとそれほどの差はないかもしれません。
今年は受講者数も記録してみますかね…。

地域別

最多は東北地方の37回でした。このうち秋田県がダントツの30回です。
何しろ、一会場あたり四回開講という連続形式の「地域サポーター養成講座」がありましたから。

続いて北海道が34回。道民四年目の割には伸びてない気もします。

次が関東地方で計18回。
あとはグッと減って、近畿地方、中国地方がそれぞれ4回ずつなど。
一番の遠方開催は北九州市でのPTA研修会でした。

活動範囲を東日本優先にしているわけではないんですが、主催される側からすると、交通費の問題は無視できませんよね。

時期別

第四四半期(10-12月)だけで51回、次に多いのが第三四半期(7-9月)で25回。
薄々そうじゃないかとは感じていましたが、季節での繁閑差が大きいですね。

もちろん講演の閑散期は、仕込みや調整の大切な時期でもあるのですが、今年はもう少しだけ先を見ながら、よりよい仕事をしていきたいと思います。

2014年5月7日水曜日

ドコモ ケータイ安全教室の教材が大幅リニューアル

2014年4月21日に公開した、勤務先Facebookページへの寄稿文転載です。923文字。

ひょんなご縁から、NTTドコモさんの安全教室の教材制作に関わりました。

出前講座の開講数/受講者数も桁違いですが、リーフレットの方も、毎年、それぞれの冊子が数十万部ずつ印刷されるという意味では、国内最大級の参考書になるのかもしれませんね。

印刷物としての配布は、安全教室を受講した団体などに限られているようですが、PDFで全文データを入手出来ますから、ちょっとした自主的な勉強会などにも使えるのかなと思いました。

---

[ドコモ安全教室教材のリニューアルをお手伝い]

 NTTドコモの「ケータイ安全教室」は、受講者数が毎年90万人を超える、国内最大規模の教育啓発取り組みです。このたび、その教材が大幅に改訂されました。

 新装なったのは「入門編」「応用編」「保護者・教員編」。それぞれのスライド教材とリーフレット(ポイントブック)のPDFデータは、いずれも既にドコモウェブサイトの下記ページからダウンロードが可能です。
https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/csr/social/educational/safety/manual_download/index.html

 今回の大幅改訂は、「携帯電話からスマートフォンへの移行」「その他機器によるインターネット利用の増加」「メッセンジャーアプリの利用トラブル増加」といった環境の変化を受けたもので、多くの学校や家庭が直面しているであろうトラブルを網羅的に収録するとともに、受講者の属性に合わせた分かりやすい解説が加えられています。

 もちろん、スライド教材の方は、ドコモ安全教室のインストラクターが使うためのものですから、利用者が通読するだけでは全ての疑問は解決出来ないかもしれませんが、リーフレットの方は、それ単体でも十分に読み応えがあり、役立つものです。

 ちなみに、ドコモの講師派遣が無償ということはよく知られていますが、最近同社が配布している教育啓発冊子(リーフレット)に、同社の社名がほとんど登場せず、宣伝色が極力排されていることをご存知の方は、案外少ないようです。
 このあたりも含め、ぜひ上記ページから最新版リーフレットPDFをダウンロードして、確かめてみてください。

 日頃、ピットクルーでは、さまざまなインターネット利用トラブル実態についての知見と、青少年から大人までを対象とした幅広い教育啓発経験を蓄積しています。

 今回はその蓄積が認められ、第三者の視点でアドバイスするという形にて、初めてドコモさまの教材制作のお手伝いをさせていただきました。



 これからもより多くのみなさんのお役に立てるように、日々の業務に取り組んでいきます。

(高橋大洋/インターネット利用者行動研究室)


2014年5月2日金曜日

書評:わが子のスマホ・LINEデビュー 安心安全ガイド(小林直樹)

2014年4月15日に公開した勤務先Facebookページへの寄稿文の転載です。1551文字。

著者の小林記者は、子どもネット研の保護者講座の実地取材に来られて、本文中では、その一部コンテンツのご紹介もいただきました。

それにしてもこういう書籍は、具体的に書けば書くほど、サービス側の変化(改善)に置いていかれてしまいますから、その賞味期限が短くなりがちなのが難しいところですね。

一応、アマゾンへのリンクを貼っておきます。
(アフィリエイトリンクです 笑)

---

[書評:わが子のスマホ・LINEデビュー安心安全ガイド]



変化の早いインターネットの世界。子どもへの機器の与え方に自信が持てる保護者は多くないのが現実でしょう。とはいえ、いざ勉強しようと思っても、書籍は情報が古かったり、インターネットでは全体像を見渡せるようなまとまった形になっていなかったり…。

そんな保護者向けに、最新の「知っておくべきこと」「知りたいこと」をコンパクトにまとめた書籍「わが子のスマホ・LINEデビュー 安心安全ガイド」(日経BP社)が書店に並び始めています。

著者の小林直樹氏は、企業によるソーシャルメディア利用の失敗(いわゆる「ネット炎上」問題)では、とても多くの事例に精通した日経BP社の記者です。「子どものネット利用問題」についての書籍の多くが、教育現場に近い立場の著者によって書かれているのと違い、ジャーナリストの視点で問題を広く捉え、限られたページ数の中に重要度の高い項目をバランスよく取り上げているところが本書の大きな特徴です。

まず第1章では、2014年春の時点で多く聞かれる質問を、上手く10個にまで絞り込んでいます。

たとえば、今さら周囲には聞きにくい質問である「ガラケー(従来型携帯電話)とスマホは何が違う?」や「LINEはなぜ無料で使えるのか?」の解説は、新しいサービスや機器になじみの少ない保護者にこそ必要なものでしょう。

また「LINEにまつわる事件、トラブルがよく報じられるが、危険なのか?」の項目では、事件報道の特性を指摘した上で、本当に警戒すべきリスクを冷静に論じているのも、保護者にとって有益なものと思われます。

続く第2章では、あまたあるスマートフォン利用にともなう問題を、「歩きスマホ」「ワンクリック詐欺」「ネット依存」「ネットいじめ」「リベンジポルノ」という、身近かつ被害が深刻なもの5つに絞って簡潔に解説。

いずれも具体的な事例を挙げつつも、煽りすぎない書きぶりと、具体的なアドバイスで、全体像を把握する際のよい糸口になりそうです。

その後、第3章「わが子を守るスマホ設定」と第4章「わが子を「炎上」させない対策とルール」、第5章「トラブルを防ぐSNS設定」では、それぞれ「保護者ができる子どもたちの利用環境整備」「利用者である子どもたち自身の気づきが必要な点」「トラブルの場となる人気サービスの利用についての具体的なアドバイス」という三つの切り口から、いずれもきわめて現実的なポイントが列挙されています。

本書の各章のまとめには、「保護者はこう行動しなくてはいけない」という決めつけがほとんどありません。必要なデータや手がかりを示した上で、判断はそれぞれの家庭に任せるというスタイルが徹底されています。

また「保護者がするべきこと、出来ること」という視点で書かれてはいながらも、子どもたちのインターネット利用問題に関わらざるを得ない学校の先生方や、行政職員にとっての、課題を正確に捉えるための入門書としても有用そうです。

本書を通読して、「知ってるよ」とか「自分の思ってた通りだったよ」という方は、子どもたちのインターネット利用問題に「詳しい人」または「少し詳しい人」です。周囲の大人や子どもたちが困っている時には、ぜひ手助けをお願いします。

中には、字数が限られた本書だけでは満足出来ない方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、みなさんの近くにいるはずの「詳しい人」「少し詳しい人」を探して、質問してみてください。

本書の中でも取り上げていただきましたが、ピットクルーでも、保護者や教職員の研修会などへの講師派遣で、「少し詳しい人」を増やすお手伝いをしています。本書が一人でも多くの方に読まれることを願っています。

(高橋大洋/インターネット利用者行動研究室)

2014年5月1日木曜日

「スマートフォンは夜9時まで」について考える

2014年3月20日公開の記事(勤務先Facebookページ)から転載。1202文字

予想通りというべきか、同様の問題意識を持つ自治体に波及している様子が、続報として報じられています。

■小中学校 広がるスマホ制限 「長時間使用は異常」「帰宅時安全確保は」首長も賛否
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1404/22/news038.html

あくまでも、子どもたちの長時間利用の背景にある「同調圧力に負けてズルズル」という点に着目した苦肉の策であり、呼びかけの当事者ほど、「これだけで全てが解決する」とはみじんも信じていないだろうと見ています。

だから「スマートフォン以外にも機器はあるよね」云々と高みの見物をしている場合ではなく、長時間利用の構造を理解できるのか、自らを律することが出来るか、試されてるのは、子どもたち以前に、われわれ大人全員なんですよね。

---

[「持たせない」から「夜9時まで」への大きな前進]

携帯電話の利用トラブルが社会問題化した2008年以降、「子どもには携帯電話を持たせない」という運動に取り組む地域が複数生まれました。

それから6年、今度は「スマートフォンは夜9時まで」という地域ぐるみの呼びかけが報じられ、話題になっています。

■スマホ 午後9時以降ダメ 刈谷の全小中学校
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aichi/news/20140317-OYT8T01038.htm

ネット上の反応は、当初「学校が口出しすることではない」「問題の先送り」「実効性に疑問」といったネガティブなものが目立ちました。
しかしその後、当事者の声が伝わり始め、趣旨に賛同するポジティブな受け止め方が広がりつつあるように見えます。

■子ども21時でスマホ禁止、刈谷市が大胆な試み。
http://japanese.engadget.com/2014/03/17/21-line/

なんといっても今回の決断は、以前の「持たせない」から大きく前進しています。

以前の「持たせない」の背景には、子どものインターネット利用にはリスクをとるほどの価値は無いという判断があったはずです。
しかし今回の呼びかけの背景には、その後、インターネットが生活を豊かにするための基盤になりつつある中で、ある程度の制約をつけた上であれば、子どもに使わせる方が現実的という判断があるわけです。

「持たせない」とは違い、「夜9時以降禁止」ではインターネット利用リスクはゼロにはなりません。そもそも施策の徹底自体も難しいでしょう。しかし、あえて今回のような呼びかけを選んだ。そこに、地域の大人たちの的確な現状認識と強い決意を感じます。

有識者からは、取り組みを成功させるための課題がさっそく指摘され始めています。

■「夜9時以降ケータイ・スマホ禁止!」刈谷市学校の保護者への要請の意味と課題
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takeuchikazuo/20140318-00033660/

今後、刈谷市の内外からさらに多くの知見を集め、元々のねらいが見事に達成されることを信じています。

また、今回の報道を見て、「わが街でも!」と議論に弾みがつく地域が、これから他にも増えることでしょう。

前回の記事(https://www.facebook.com/pitcrew.co.jp/posts/815088355184717)でもお伝えした通り、その時は、子どもだけに呼びかける運動だけでなく、スタートの時点から「大人自身も振り返る機会にする」=「インターネットとの上手な距離のとり方を模索する」という要素もぜひ取り入れていただければと考えます。

微力ではありますが、機会をいただければ、お手伝いもさせていただきます!

(高橋大洋/インターネット利用者行動研究室)


2014年4月30日水曜日

ネット依存は子どもの問題じゃない

2014年3月6日公開の勤務先Facebookページへの寄稿記事からの転載です。1122文字。

「なぜ急にネット依存が問題になってるの?」
「どうしたら良いの?」
という疑問に割と素直に答えていますね。

「子どもは周りの大人の様子を見て学ぶ」
という指摘は元々、広島大の匹田先生にいただいたものです。

そして大人のソーシャル依存は結構根深いとも思います。
最後の段落はまず自分自身に言い聞かせるために書きました。

---

[子どもをネット依存にさせないために]

「ネット依存」というキーワードが注目を集めています。

いわゆる「ネット依存症患者」というのは、昼夜逆転の生活でオンラインゲームを楽しむ若年利用者が、その典型的な姿でした。

ところが、スマートフォン普及の影響などで、その裾野が急に広がったのではないかと懸念されています。内閣府の最近の調査でも「青少年の平日のネット利用時間が3年前の2倍近くに」という状況です。

なぜ「スマートフォン普及=ネット依存の裾野が広がる」なのでしょうか。

1.スマートフォンは「いつでもどこでもネットにつながる超小型パソコン」です。決まった場所で使うパソコンとは異なり、移動中やスキマ時間など「利用できる時間帯」が飛躍的に増えます。

2.スマートフォンの場合は、家族が一台ずつ所有することも珍しくありません。子どもたちは大人の目が届かないところで、好きなことを楽しめるわけです。

3.スマートフォンでは、ゲームなど娯楽アプリや動画コンテンツなど「閲覧系のお楽しみ」に事欠きません。コミュニティアプリで自分のことを気軽につぶやいたり、メッセージアプリで友だちとのやり取りを楽しんだりも人気です。閲覧・交流のどちらも時間がかかる遊びです。

こうした背景から「スマートフォンを持つ=インターネットの長時間利用」になりやすいわけです。もちろん「長時間利用=依存」ではありませんが、依存傾向への入り口という面も含め、長時間利用がもたらす弊害が心配されています。

子どもたちの長時間利用を防ぐために、普通の保護者には何が出来るのでしょうか。

自制心が十分に育っていない段階では、個人所有のインターネット機器を安易に持たせない、持たせた後は「充電はリビングで。スマートフォンなどの機器は寝室に持ち込まない。」といったルールを決めることなども有効でしょう。

しかしその前に、保護者自身がインターネットとのつき合い方を見直すことが必要です。

小さな子どもたちは、日々、周囲の大人の振るまいを見ながら育っています。

ですから「食事中にスマートフォンを操作」させたくないなら、保護者が率先して「食事中はスマートフォンの電源を切る」や「別室に片付けておく」を実行するのです。
(すぐそばで着信通知があったら、中身が気になるのが人情ですからね)

食事中に限らず、就寝前の一定時間など、インターネット機器から離れると心穏やかでなくなるようであれば、子どもたちの状況を憂う前に、われわれ大人が依存状態なのかもしれません。

自らの意志でオンオフの切り替えをハッキリとさせられる、上手なインターネット利用のあり方をこれから意識的に探していきたいですね。

(高橋大洋/インターネット利用者行動研究室)