2011年1月7日金曜日

保護者向けにフィルタリングの説明をされる皆さんへ

年も改まり、各地で「進学・進級を期に携帯電話を持ち始める子どもたち向け」に「フィルタリングの契約促進をするべし」という動きが見られます。

児童生徒よりも、もっぱらその保護者をターゲットに、ほぼ全員が集まる数少ない機会である「入学説明会」「保護者向けの学校説明会」などを舞台に、学校の先生方が臨時の講師となって(今年の場合は、警察庁からの大号令も出てますので、所轄の警察署の方、県警のサイバー課や少年課の方が出張講師というケースも増えているようです)小規模な説明会(「講話」形式)が行われるというのが、典型的なパターンでしょうか。

また、説明会の内容としては、

・インターネット上の様々な問題を紹介、いずれも決して「他人事ではない」ことを伝える
・子どもたちのインターネット利用トラブル(被害統計)の多くは、携帯電話経由であることを確認
・フィルタリングを利用することで不適切サイトへの接続が防げることを紹介
・携帯電話を買い与える時は、フィルタリングを必ず契約するように依頼

といった要素が基本になるでしょう。

これに最近だと、

・親がゲームサイトと思っていても、その実態は交流サイトで、悪意のある大人との接触トラブルが心配
・出会い系サイトよりも、一般サイトを経由した被害のほうが多くなっている実態

といった注意点も付け加えられるかもしれません(特に警察から講師が派遣される場合には)。

これを聞いた保護者の多くは、素直に

・ゲームサイトに交流機能があるなんて知らなかった
・携帯電話を持たせることは控えたい、またはフィルタリングを使わせたい

と思って帰宅されるようです。

ところが、フィルタリングの仕組みや、実践的な「使い方」についてまでは、聞かされていない、ご存じ無いほうが普通ですから、いざ契約してみると、

・部活動や塾の連絡掲示板が見られない
・音楽のダウンロードが出来ない

といった、予想していなかった「苦情」を子どもから受けることに・・・。
フィルタリングってなんでこんな普通のサイトを「有害」扱いするんだろう?と訝しく思う保護者・・・。

子どもも「『変なサイト』なんか見に行かないよ」と約束しますし、親としても我が子のことを信じたいですから、あっさりフィルタリング契約そのものを解約してしまうというのがまた非常に多く見られるケースのようです。(せっかく説明会まで開いたのに・・・)。

さて、ではどうしたら、初心者の護身には欠かせないフィルタリングを使い続けてもらえるのか。

その大前提として、フィルタリングは、アダルトサイトや、残虐画像を掲載するサイト、ワンクリック詐欺サイトなどに、子どもたちが意図せずアクセスしてしまう(普通の掲示板やブログに貼り付けてあるリンクなどがきっかけになることも)ことを防ぐという意味では、概ね保護者の期待に添う実力を備えていると思っていただいて構いません。

肝心なのは、そもそもフィルタリングというのは「使うのか使わないのか」の二者択一だけを迫るものではないということを、保護者の皆さんに伝えていただくこと。

携帯電話のショップに行って契約した時点のフィルタリングは、いわば既製服のようなもの。しかもサイズは大中小の三つしか用意されていません。

なのに、パッと渡されたジャケットを羽織ってみて、「ああ小さすぎる」「ブカブカだ」といって、買い物をやめてしまっては、この寒空の下、上着無しで過ごさなくてはいけなくなります。

そう、「サイズの選択」とか「細かなお直し」が、フィルタリングにも必要なんです。

具体的には、「アダルト」とか「コミュニケーション」といった大きな単位(分野=カテゴリと呼びます)で網をかけておいて、アクセスを制限するわけですが、子どもの判断力や能力の発達に合わせて、その網の範囲を大きくしたり小さくしたりすることが一つ(サイズの選択)。

さらには、「コミュニケーション」(掲示板とかブログとかプロフとか交流サイト=ゲームサイトのような)という単位全体は制限対象としながらも、特定のサイトやページ(部活動の連絡掲示板とかですね)については、アクセスを許可するという、利用者ごとの事情に合わせた調節(細かなお直し)。

この二つの「選択」と「調節」を経て、初めてその子にあったフィルタリングが(それでもまだ着心地はよくないかもしれませんが)準備できるということになります。

この「選択」と「調節」は、パソコン用のフィルタリングでは当たり前の機能なんですが、携帯電話用に備わったのは、つい最近(2009年)。

だから、携帯電話のショップ担当者の中には、まだよくご存じ無い方もいらっしゃるかもしれません。
保護者がお子さんと一緒に契約に行っても、ちょうどいい上着を選んでもらえない可能性があるわけです。


なので、今月から来月にかけて、フィルタリングの説明を担当される先生方、そして警察関係者の皆さん。
ぜひこの「選択」と「調節」の必要性について、研修会の最後に触れるようにしてみてください。

そして、この進学・進級を期にケータイデビューする子どもたちが、楽しい新学期を迎えられることを祈っています!


#筆者も運営事務局として参加している専門家会議「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」や「保護者のためのフィルタリング研究会」では、本エントリーに関する、より詳しい情報や教材も提供しています。

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