iPhoneに代表される、いわゆるスマートフォンは、2008年6月の青少年インターネット環境整備法の成立当時には、日本には入ってきておらず(※正確にはこの時点で入ってきていないのは日本向けiPhone。その他機種は国内市場にも存在していた。12/16追記)、同法に基づくフィルタリング提供義務が誰に課されるのかは、解釈次第という状況が続いてきた。
スマートフォンでは、携帯電話事業者網を経由するだけでなく、より高速なWiFi接続(無線LAN接続)で、一般のISPを経由してインターネットに出ていく(サイト閲覧をする)ことが出来るのが特徴の一つ。
携帯電話事業者側の設備上で待ち構えていれば、絶対確実にフィルタリングをかけられた、従来型の携帯電話端末との大きな違いとなっている。
その後、iPhoneは代替わりを重ね、普及ペースを上げる一方、他の携帯電話事業者からも、魅力的なスマートフォンが次々と投入されている。既に、スマートフォンはもはや特別な端末ではなく、高校生など未成年者も利用している状況がある。
ちょうど本年秋から、青少年インターネット環境整備法は、元々の「三年以内」という規定に沿った形で、内容の見直し議論が始まっている。
その中で、大きな論点の一つとなっているのが、このスマートフォン向けのフィルタリング提供義務のあり方。
■「iPhoneのフィルタリングは十分か」、青少年WGで議論 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20101126/354588/
上記記事の後半で報じられているように、他の端末と同様、携帯電話事業者が提供義務を負うべきなのか、端末製造者が何らかの措置をするべきなのか、または店頭での運用(フィルタリングを設定してから渡すなど)でカバーするような考え方で良いのかが、今後議論すべき点として明確になりつつある。
ところがこれに加え、昨夜、下記の記事が掲載された。
■iPhoneにフィルタリング未搭載、総務省が質問状
http://www.asahi.com/business/update/1214/TKY201012140533.html
「行政指導も視野に」とするこの記事からは、総務省が、端末製造者であるアップルに、法に基づく何らかの具体的な措置を求めているように感じられる。
iPhoneに限らず、スマートフォンでは、フィルタリングのあり方としては相当に特殊な前提条件の下にあった、これまでの「携帯電話フィルタリング」のスキームの延長上だけでは、対応が難しいことは明らかだろう。
今回のアップル向けの質問状について、他の大手紙では報じているところはまだ無いため、実際の総務省側の意図を断定することは避けたい。
しかし、端末側にも何らかのフィルタリングまたはペアレンタルコントロール機能の提供が求められるというのは自然な流れと感じる。(※求める→求められる 12/20修正)
今後議論を深めるべき本当の問題は、その流れを法の体系にどううまく当てはめ、弊害が少なく、実効性の高い施策に結びつけられるのかにあるのだろう。
なお今後は、従来型の携帯電話端末にも、無線LAN接続の機能が搭載されたものが増える可能性もあり、そもそもスマートフォンが何を指すのかの定義についても、現実に即した議論が必要になるだろう。
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