2010年12月15日水曜日

条例改正が携帯フィルタリングに与える影響

東京都の青少年健全育成条例改正案がようやく可決された(2011年7月施行)。

当方としては、兵庫県が先鞭を付けた、いわゆる「契約解除の困難化」など、フィルタリング関連の項目の行方に注目していたわけだが、都条例改正はその条例案の構成上、なんだか表現規制の方の話だけがえらく盛り上がり、気づけば埼玉県(2010年10月施行済み)にも神奈川県(2011年4月施行)にも追い抜かれてしまった。
まあしかし、「契約解除の困難化」の自治体条例への盛り込みは、これで完全に定着だろう。
今後、各自治体の担当部署には、兵庫のように、きちんと効果測定と結果の共有もお願いしたいところだ。

この都条例改正について、メディアの報道やネット上の数々のコメントでは、もっぱら表現規制の話ばかり。フィルタリング関連が最終的にどうなっているのか、本記事ではあらためて、その改正案の中身を確認してみたい。

都のウェブサイトにある資料
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_joureikaisei_4tei.html
によれば、フィルタリングが中心に据えられる「インターネット利用環境の整備」関連では大きく、四つの目玉が掲げられている。

1)携帯電話等の推奨制度の創設
2)フィルタリングの実効性の向上
3)解除時の手続き厳格化
4)保護者等の責務

この中で、他県に例が無く、その行方が注目されるのは1)の推奨制度の創設だろう。
「端末または機能」を推奨できるとのことなので、都の今後の運用次第では、端末機器メーカーはもちろん、携帯電話事業者のサービス仕様の改善にも影響が大きい。
(ただし、現行の条文の書きぶりでは携帯電話またはPHSのみであって、スマートフォンなどに切り込めるものにはなっていないと考えられる)。

また2)の実効性の向上についても、第18条の7に「青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じている実態」とわざわざ例示をしていることから、その運用次第では、携帯電話事業者のサービス仕様、具体的には、閲覧制限カテゴリの選択や、第三者機関認定サイトの初期設定のあり方にも、影響が出てくるのではないか。

1)2)とも、来年7月の施行をめざし、大まかには今年度内をメドに、あちこちで現実的な着地点を探す議論の場が設定、展開されるだろう。

条例に加えられた文言を生かすも殺すも運用次第。
引き続き、その行方に注目していきたい。

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